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おもしろ音楽 大集合⑥/ROSE MURPHY

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ここのところディープなアルバムが続いたので、今回は少し目先を変えてみたいと思います。ローズ・マーフィーです。といってもこの人の名前を知っているのはかなり黒人大衆音楽に詳しい方だけだと思います。そういう私も最近中古屋でこのLPを買ったばかりで、それ以前にはあるコンピレーション・アルバムで2曲しか聴いた事がなく、詳しい事は分かりません。なのでこのアルバムの解説より少し引用します。

 彼女はオハイオ州ズイニア生まれ。1920年代前半の生まれのようだ。1940年ごろからクラブに出演し、40年代後半には人気スターになって放送にも出てレコーディングを行っている。50年代末から60年代にかけてはベースの名手スラム・ステュワートとしばしば一緒に楽旅をした。(中略)本アルバムは、彼女のデッカにおける1950、55、61年録音の全レコード14曲を集めた日本独自の企画編集もの。そのなかには未発表2曲が含まれている。彼女のチャーミングなヴォーカル、そして力強くスイングするうまいピアノ・プレイの魅力をお楽しみいただきたい。

 解説にあるように、彼女はピアノの弾き語りを得意としていています。歯切れ良くスイング感の素晴らしいピアノも良いですが、何と言っても耳を惹くのは子供のような可愛らしい歌声です。しかも作り声ではなく地声なのだそうです。声質を生かした、甘えるような、しかもユーモアたっぷりな歌い方も全くイヤミっぽくならず素直に楽しめます。おそらく得意ワザなのでしょう、唇をブルブル震わせながら声を出すという芸にも思わず頬が緩みます。
 取り上げている曲はほとんどがスタンダード・ナンバーですが、いわゆるジャズ・ヴォーカルとは違う魅力があり、ジャズ・ヴォーカルをほとんど聴かない(好きな歌手もいますが)私でも、こういうスタンダードなら何度でも聴きたい、と思えるぐらい良いです。
 解説に名前の出たスラム・ステュワートとの共演が3曲ありますが、内2曲は完全にスラムが主役です。スリム・ゲイラードと組んだスリム&スラムでの代表曲「フラット・フット・フルッジー」もやっています。「ビッグ・ノイズ・フロム・ウィネッカ」という曲では、スラムの超絶技巧とトレードマークのベースの弓弾き+ヴォーカルのユニゾンが両方楽しめます。この曲では、スラムのプロ意識というかスケールの大きさがヒシヒシと感じられます。大衆音楽としてのジャズの最もいい部分がこの曲に現れていると思います。ジャズという音楽は芸術と芸能の狭間を揺れ動いてきた歴史があり、芸術性を追求した代表がコルトレーンとすれば、その正反対に位置するのがスリム&スラムやキャブ・キャロウェイといった人達でしょう。そしてその間で微妙な均衡を保とうとしていたのがサン・ラやアート・アンサンブル・オブ・シカゴ(ある意味ではマイルスも入れてもいいかもしれません)といったところでしょうか。とにかく、ジャズと芸能性やユーモアというのは永遠のテーマの一つだと思います。
 話が脱線しましたが、このアルバムは80年代に発売された「おもしろ音楽大集合」というシリーズの中の一枚で、彼女の他にルイ・ジョーダン、キャブ・キャロウェイ、スリム・ゲイラードなどの一癖も二癖もあるエンターテイメント色の強い人達のアルバムがあります。こういう音楽は普通ジャイヴと呼ばれ、一部の人達には高い人気があるようですが、純粋(?)なブルース・ファンやジャズ・ファンには黙殺されているようです。要するに大衆に媚びた売れ線狙いのチャラチャラした奴ら、というイメージなのでしょう。しかし、このような音楽には当時の黒人大衆のパワーや屈折した意識などの色々な要素がブチ込まれていると思います。こういう音楽は表面的には非常に分かりやすいため軽く見られがちですが、色々聴いていくと実は奥が深く、大衆音楽の懐の広さに気付かされます。そうなると逆に、芸術音楽の中に意外な芸能性を感じ取ったり、高い芸術性と言われているものが実はせせこましさの裏面に過ぎなかった、と気付いたりして、今までと違う聴き方を楽しめるようになりとても面白くなると思うのですが。もちろんただ純粋に楽しみたいという欲求にも充分答えてくれると思うので、機会があればこういう音楽を沢山の方に聴いて頂きたいです。といってもこのアルバムはCD化されていないようですが。


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22:20 | jive | comments (0) | trackbacks (0) | page top↑

A SEA OF FACES/ARCHIE SHEPP

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 アーチー・シェップの1975年録音のアルバムです。シェップは私のフェイバリット・ミュージシャンのひとりですが、聴くにはかなりの集中力を必要としますし、よほどこの音を求めている時でないと聴かないので、最近は少し疎遠になっていました。しかしこちらのブログを読み、私の大好きなこのアルバムを取り上げようと思いました。
 私が最初に聴いたシェップの演奏はセシル・テイラーのグループでの録音だったと思いますが、そこでは後年のような暴れっぷりはなく、さほど印象には残りませんでした。リーダーアルバムで最初に聴いたのはおそらく「ONE FOR THE TRANE」だったと思います。ライヴ、しかも亡きコルトレーンに捧げた演奏ということもあってか、ここでは完全燃焼しています。ベースのジミー・ギャリソン、ドラムのビーヴァー・ハリスのプレイも素晴らしく、この一枚でシェップ・ファンになりました。
 「A SEA OF FACES」はあまり話題に上らないアルバムなので、シェップが好きになってからもその存在をしばらく知らなかったのですが、ある時(10年ほど前でしたか)その当時よく行っていたレコード店で店員さんが「こんなのどうですか」と聴かせてくれたのがこのアルバムです。そこで聴いた時から現在まで(そしておそらくこれからも)、数あるシェップのアルバムの中でも特に思い入れの強い一枚です。
 1曲目の「Hipnosis」はシンプルなベースのリフで始まる8ビートの曲ですが、その後出てくるシェップが吹くテーマがエキゾチックです。そしてそのままサックスソロになだれ込みます。最初こそおとなしめに吹いていますが、段々熱を帯びてきて10分以上ブリブリ吹きまくります。小節の区切りを踏み潰していくような傍若無人な吹きっぷりです。基本的に同じようなフレーズの連続なのですが、ヤクザな音色でテンションを落とすことなく延々と憑かれたように吹き続ける彼のソロには、一種のトランス効果があります。ドラムのビーヴァー・ハリスは、いつもはフリーリズムでのプレイが素晴らしいですが、この曲では8ビートの枠の中で自由奔放に叩きまくってシェップを鼓舞しています。ハリスは長年シェップのグループにいる人で、シェップの数々の傑作は彼なくしてはあそこまでのクオリティを持ち得なかったと思っています。のみならず、彼こそNo.1のフリージャズ・ドラマーだと確信しています。晩年のコルトレーン・グループで演奏してほしかったです。それはともかく、ピアノのデイヴ・バレルのバッキングもシンプルながら効果的で、この三人の絡みが絶妙です。個人的には、全く打ち合わせ無しのフリー大会のような演奏より(良いのもありますが)、こういうモード的なフリージャズに異常なほどの興奮を覚えます。調性と非調性のはざまというか、両者がせめぎ合っている緊張感というものにグッと来ます。ファロア・サンダースやジェイムズ・"ブラッド"・ウルマー率いるミュージック・レヴェレイション・アンサンブルなんかもそうですね(それぞれ音楽的には随分違いがありますが)。
 この曲の作曲者は、以前シェップのグループに参加していたトロンボーン奏者のグレシャン・モンカーⅢ世です。シェップはモンカーがバンド在籍時は勿論脱退した後も、彼の曲を何度も取り上げており、作曲能力を高く買っていたようです。彼の曲は内容もタイトルもユニークな物が多く、フリージャズのミュージシャンでは珍しく作曲で個性を主張できる人です。
 他の曲では、シェップ自身の詩の朗読や女性ヴォーカルが入ったり、珍しくハードバップ調の演奏があったりしますが今いちテンションが低く、「Hipnosis」の後では物足りなく感じます。高ぶった気持ちを静めるのには良いかもしれませんが、私は大抵「Hipnosis」しか聴きません。というかこの26分にも及ぶ大曲だけでお腹いっぱいです。
 シェップのアルバムには他にも紹介したいものが幾つかありますが、特にオススメなのが「POEM FOR MALCOLM」です。B面がスゴイです、脳天カチ割られます。もし興味を持たれてこのアルバムを聴く時は、まず聴いてからメンバーの名前を確認する事をオススメします。ビックリしてその後笑ってしまいます、多分。
23:02 | jazz | comments (4) | trackbacks (0) | page top↑
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