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SAXOPHONE COLOSSUSとSONNYY ROLLINS VOL.2 その2

 「SAXOPHONE COLOSSUS」の中で「st. thomas」と「moritat」の評価が高い理由についてですが、歌心に溢れた完成度の高いアドリブ・分かりやすいテーマ等が考えられます。しかし、それだけなら他のアルバムにもそういう曲はあると思います。

 この二曲に共通するキーワードをあえて一言で表せば、「中庸」という事ではないでしょうか。どちらの曲も翳りのない明るいムード、速くもなく遅くもないいわゆるミディアム・テンポ、BGMとして聴いても邪魔にならず、かといってただ流れていくだけではない適度なリラックス感が共通点だと思います。

 「なーんだ、そんなことか」との声が聞こえてきそうですが、多くの人に愛されるにはこれらの点が意外に重要なのではないかと思います。「strode rode」はテンポが速いのでうるさい、「you don't know what love is」はちょっとクサくていつでも聴けるわけではない、「blue seven」は地味、と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか(私がそう思うというわけではなく、あくまで推測ですが)。

 私などは根が暗いせいか、コルトレーンなどの重く暗く激しくスピリチュアルな、心を激しく揺さぶられるような演奏に惹かれます。しかしそんな私でも四六時中そういう音楽を聴いているわけではなく、ましてや音楽は楽しむものと思っているであろう(もちろん時には暗い音楽を聴く事もあるでしょうが)方々は楽しくて分かりやすい、そして極端に走らない「st. thomas」や「moritat」の方を好むのが当然だと思います。

 「SAXOPHONE COLOSSUS」(特に「st. thomas」と「moritat」)は、分かりやすさと演奏のクオリティが高い次元で両立されているので、ジャズを聴き始めの方もジャズを長年聴き続けている方も(つまり多くの方を)満足させる事が出来るのではないでしょうか。そういう意味でこのアルバムをロリンズの代表作とすることに私も異論はありません。ジャズをこれから聴こうとされる、ごく普通の価値観を持った方に、ロリンズのアルバムで最初に何を聴いたら良いかと聞かれれば、私もこのアルバムの名を挙げるでしょう。

 以上のように、このアルバムの素晴しさを十分認めつつも、なお釈然としない気持ちが残ります。それはやはり、他のロリンズのアルバムの評価が「SAXOPHONE COLOSSUS」に比べ、著しく低く感じられる事です。

 特にブルーノートの「SONNYY ROLLINS VOL.2」は個人的には「SAXOPHONE COLOSSUS」よりはるかに素晴らしいと思っているだけに残念です。とにかくまずメンバーがスゴイです。J.J.ジョンソン、ホレス・シルヴァー、ポール・チェンバース、アート・ブレイキー、そして二曲だけですが、なんとセロニアス・モンクまで参加しているではないですか。こうして名前を打ち込んでいるだけでめまいがしそうですが、実際CD店でこのアルバムを見た時、メンバーを見て頭がクラクラした事を覚えています。

 実際の演奏の方もまさにオール・スター・セッションと呼ぶにふさわしい内容で、それぞれが持ち味を出し尽くした、緊張感溢れる真剣勝負の連続です。 特にブレイキーとモンクの存在感が圧倒的ですが、それに埋もれるどころか高いテンションを保ちながらも自由奔放さとユーモアを忘れず、伸び伸びとプレイするロリンズが素晴らしいです。
 三曲目の「misterioso」に至っては、作曲者モンク自身リーダー・セッションで何度か録音していますが、それに勝るこの曲の決定版と言って良いと思います。なによりモンクの名曲がこんなに豪華なメンバーによって、しかもモンク自身が参加して、しかも(二回目)一台のピアノをモンクとシルヴァーが並んで弾くという、奇跡に近い空前絶後の瞬間です。やはりモンクにとってのベスト・サックス奏者はロリンズ、ベスト・ドラマーはブレイキーであると、この曲を聴くとつくづく感じます。
 ちなみにここでのベース・ソロはポール・チェンバース一世一代の名ソロだと思います。ジャズのべース・ソロにはジミー・ブラントン以外ほとんど興味のない私ですが、このソロを初めて聴いた時のインパクトはかなり大きいものがありました。

 実を言うと、最初は「SAXOPHONE COLOSSUS」だけを取り上げようと思って繰り返し聴いている内、むしょうに「SONNYY ROLLINS VOL.2」が聴きたくなり、その結果この二枚を同時に取り上げる事にしたのですが、「SAXOPHONE COLOSSUS」を聴いていて何か言葉にならない物足りなさが、「VOL.2」を聴いて分かったような気がしました。心地よい疲労感とでも言えばいいのでしょうか、それが「SAXOPHONE COLOSSUS」になくて「VOL.2」にあったものです。

 ではこの疲労感のあるなしは何故生まれるのでしょうか。私の推測では、先に書いた曲調も大きな要素ですが、バック・メンバーが大きな役割を持っていると思います。「SAXOPHONE COLOSSUS」では他のメンバーは伴奏に徹しているように感じますが、「VOL.2」ではリーダーを含め全員が対等な立場でのぶつかり合いをしている感じです。それによって生まれる緊張感が、聴き手をもその真剣勝負に引き込み、聴き終わった後の解放感が聴き手に疲労感を与えるのではないでしょうか。逆に言えばこれがあるために「VOL.2」は誰にでも好かれる「大名盤」「最高傑作」になれないのではないか、というのが私の仮説です。

 先ほど私は、「ジャズをこれから聴こうとされる、ごく普通の価値観を持った方に、ロリンズのアルバムで最初に何を聴いたら良いかと聞かれれば、私もこのアルバムの名を挙げるでしょう。」と書きました。しかし、真剣に向き合う事によって得られる満足感というものがあり、それを音楽を聴く事に求める、という方に同じ質問をされれば、私は迷わず「VOL.2」をオススメします。

 最初は軽い気持ちで書き始めたのですが、書いている内に入り込んでしまって取り止めが無くなってきたので、これで終わりにしたいと思います。長々と書いた割には不満の残る文章になってしまいました。書ききれなかった事はコメントに対する返答の場を借りて書きたいと思っていますので、賛否に関わらず皆様のコメントをお待ちしております。



 
 

 
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COOL STRUTTIN'/SONNY CLARK その1 | top | SAXOPHONE COLOSSUSとSONNYY ROLLINS VOL.2 その1

Comments

#
15年位前、ちょっとジャズを聴いてみたくなって、友人からCDを何枚か借りました。
このアルバムもその中の1枚で、その頃は、全然良さがわからず、唯一なんとなく格好いいなと思ったのが、マイルスの"Kind Of Blue"のみ。
でも、このアルバムがどうとか言う問題でもないのですけどね。
それ以来、聴いてないのですが、これを機会にそろそろ、と思っています。
by: piouhgd | 2007/01/10 12:49 | URL [編集] | page top↑
#
 偶然ながら、私も初めてジャズを聴いたのは15年くらい前です。
 周りにジャズを聴く人が居なかったのでレンタルCD店で借りまくりました。レンタルなので当然有名盤しか置いておらず、初めてのロリンズ体験もやはりこのアルバムでした。
 その当時は、聴いた時はいつもいいなと思うのですが、なぜかヘヴィー・ローテーションにならないアルバムで、音楽的には全く違いますが、ビートルズの音楽も私にとって同じような存在でした。
 本文でも触れていますが、ロリンズはモンクと組んだ時が最高だと思います。というかこの当時モンクと対等に渡り合えるサックス奏者はロリンズ以外いません(コルトレーンとの相性は言われているほど良いとは感じません)。テクニックはもちろん、ユーモア・自由奔放さ・リズムの乗り方等、ルイ・アームストロング、チャーリー・パーカーに匹敵するブッ飛びぶりで、同時代のライバル達とは次元の違いを感じます。
 
by: おみや | 2007/01/11 01:10 | URL [編集] | page top↑
#
はじめまして。おみや様
私のブログにお越しいただいた跡がありましたので、訪問いたしました。
それから、リンクさせていただきました(拝)

>心地よい疲労感とでも言えばいいのでしょうか、それが
>「SAXOPHONE COLOSSUS」になくて「VOL.2」に
>あったものです。
のお言葉に目からウロコが落ちたという感じです。
今まで「こういう音楽が気持ちいい」とは言えてもそれをうまく言い当てる言葉を持ちえていなかったものですから。

お言葉を借りれば、自分はVol.2は全員で走ってゴールしたような心地よい疲労感、爽快感が好きなんだなと思い直しました。

でも、自分はサキコロの1枚通して飽きないところも好きだったりします。
by: | 2007/02/18 10:34 | URL [編集] | page top↑
# 申し訳ありません。
申し訳ありません。
>はじめまして。おみや様
>私のブログにお越しいただいた跡がありましたので、訪問いたしました。
上記コメントはpocosato(http://pocosato.blog81.fc2.com/)が投稿いたしました。
by: pocosato | 2007/02/18 20:55 | URL [編集] | page top↑
#
 はじめましてpocosato様。コメントありがとうございます。こちらからもリンクさせていただきます。
 私の拙い文章に「目からウロコ」という賛辞を頂き恐縮ですが、「SAXOPHONE COLOSSUS」は続けて何回聴いても全然疲れなかったのに、そのあと「VOL.2」を聴いたらドッと疲れたのでその時の素直な気持ちをそのまま書いてみました。
 「全員で走ってゴールしたような」という表現、よく分かります。お互いを認め合っているからこそ出来る真剣勝負、とでも言ったら良いのでしょうか。このアルバムを聴いていると、今自分は凄い瞬間に立ち会っている(もちろん後聴きなのですがあまりにも生々しいのでそんな錯覚に陥ってしまいます)んだなあ、と思ってしまいます。
 これからもよろしくお願い致します。
by: おみや | 2007/02/18 21:53 | URL [編集] | page top↑

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